火に強いモルタル壁

防火性能試験よりモルタル壁を検証してみると・・・

(1)基材試験結果より特筆すべき点として・・・

「減少率」が外壁材(サイディング)と比べて、非常に低い数値になっています。これは、モルタル材が燃焼しづらい特性をもっていることを表すものです。住宅等建造物の防火・耐火対策を考える上で、非常に参考になる数値が出ています。

(2)表面試験結果より特筆すべき点として・・・

「発煙係数」とは文字通り、燃焼したときの煙の出方を表したもので、非常に低い数値となっております。また、試験結果には出ておりませんが、外壁材の原材料によっては有害化学物質を発する場合も考えられます。自然素材であり、かつ燃焼しづらいという「モルタル」の性能が表れています。

この他に「裏面空間温度」の数値は、居住空間に直接影響してくる部分ともいえます。外壁の表面を加熱して、外壁の裏側(いわゆる居住空間)の温度が外壁材と比べて50〜60%程度低く抑えることができることを表してます。

防火性能試験成績書(要旨)

【材料名】
  1. モルタル
  2. 外壁材
【試験体】
  • 試験体種類および数量
    基材試験:モルタル及び外壁材 各3体 合計6体
    表面試験:モルタル及び外壁材 各3体 合計6体
  • 試験体の構成
    1. モルタル
      普通ポルトランドセメント+細骨材(左官砂)
    2. 外壁材
      一流メーカーA社製 マルチサイディング(12mm厚)
【試験方法】
  • JIS A 1321-1994に定める基材試験および表面試験
【試験結果】
  • 下記表の通り
(1)基材試験
試験体 モルタル 外壁材
試験体番号 1-1 1-2 1-3 2-1 2-2 2-3
大きさ(mm) 40×40 40×40 40×40 40×40 40×40 40×40
厚さ(mm) 50 50 50 48 48 48
重量(g) 170.1 164.5 164.4 80.8 82.6 81.9
加熱時間(分) 20 20 20 20 20 20
熱源(kW) 0.85 0.85 0.85 0.82 0.82 0.82
炉内温度 No.1 最高温度 (℃) 731.4 724.6 714.2 809.8 787.0 796.6
調整温度 (℃) 749.8 750.6 752.2 753.6 749.0 750.2
温度差 (℃) -18.4 -26.0 -38.0 56.2 38.0 46.4
No.2 最高温度 (℃) 708.8 707.1 704.3 781.7 777.5 786.8
調整温度 (℃) 752.0 749.3 747.6 749.6 752.3 753.5
温度差 (℃) -43.2 -42.2 -43.3 32.1 25.2 33.3
加熱減量(g) 97 9.3 9.6 17.9 18.0 18.2
減少率(%) 5.7 5.7 5.8 22.2 21.8 22.2
合否 合格 合格 合格 合格 合格 合格
(2)表面試験
試験体 モルタル 外壁材
試験体番号 1-4 1-5 1-6 2-4 2-5 2-6
大きさ(mm) 220×220 220×220 220×220 220×220 220×220 220×220
厚さ(mm) 25 25 25 12 12 12
重量(g) 2423.0 2435.0 2447.5 595.8 594.6 594.8
加熱時間(分) 10 10 10 10 10 10
温度時間面積(℃・分) 0 0 0 0 0 0
発煙係数(CA) 1.4 0.2 0.2 11.4 14.9 15.4
残炎時間(秒) 0 0 0 0 0 0
防火上有害な変形 なし なし なし なし なし なし
全厚にわたる溶融 なし なし なし なし なし なし
亀裂の幅・長さ(mm) なし なし なし なし なし なし
加熱減量(g) 25.1 27.3 28.1 42.7 42.7 43.0
裏面空間温度(℃) 57.2 57.2 56.9 90.9 101.8 101.2
合否 合格 合格 合格 合格 合格 合格